お寺の動物・植物たち

お寺に住む動物①「獅子」

 もっとも数多くいる獅子。

 スフィンクスに見られるように、古来より特別な動物として、力の象徴とされたライオン。中国では「獅子」と呼ばれ、聖獣として宮殿を守るものとして大切にされた。それが日本に入って後に狛犬になったとも言われる。

 お経に「説法獅子吼」(せっぽうししく)とある。百獣の王ライオンのように、誰が相手であろうと怯むことなく、正しいことを言う勇気ある姿を表す。現代にも「獅子吼」が求められている。


お寺に住む動物②「龍」

 西洋では「ドラゴン」、東洋ではインドで「ナーガ」、中国・日本では「龍」。

 龍は古代中国における伝説上の動物。体が蛇のように長く、鱗や爪をもち、雲を起こし、雨を降らすことができるという。水を司るとされる龍は、水を大切にする農耕社会である日本において神として祀られた。龍は、お釈迦さまが誕生された時に甘露の雨を降らせたという。また、瞑想されていたお釈迦さまをお護りしたと言う説話もある。寺院では、仏法(お釈迦さまの教え)を護る存在として荘厳されている。


お寺に住む動物③「鳳凰」(ほうおう)

 中国神話の伝説の霊鳥であり、仏教とともに伝来したという。一説にはインド神話の神鳥ガルダ(お経には迦楼羅と出る)が起源、煩悩を喰らう霊鳥として扱われている。日本では瑞祥文様(めでたいしるし)とされている。

 諸説あるが、各部位が麒麟、蛇、竜、亀、燕、鶏、魚などから成る。羽には孔雀に似て五色の紋があり、声は五音を発するという。

 ちなみに孔雀もいます。


お寺に住む動物④「鶴・亀」

 鶴は千年、亀は万年という。浄土に往生するならば鶴亀の比ではなく無量のいのちを賜わる。

鶴の足は長い、亀の足は短い。個性に違いはあれども、どのようなものでも分け隔てなく救う阿弥陀仏の慈悲を表す。

 日本人にとってめでたい象徴である鶴亀がお寺に荘厳されるのにはこのような意味があるとされる。


お寺に住む動物⑤「獏」

 中国の伝説では、病気や悪気を避け、悪夢を払うものとされた。それが日本に伝わって悪夢を食べる動物になり、縁起物となった。哺乳類のバクは、この伝説上の獏と似ていることから名付けられたという。

 昔は夢を重要なものと考えた。親鸞聖人にも夢のお告げによって進む道が見えたという伝説が残っている。


お寺に住む動物⑥

 「美しい本堂ですね、たくさんの動植物がいますよ」、と「よるしるべ」に来場された芸術関係の方より教えられた。

 本堂外周には一間ごとに動物が。なぜこのように多くの動物が荘厳されたのか詳しくは知らないが、みんなの力で成り立っているお寺。


お寺に住む動物・番外編「蝉」

 この一本の木で多くの蝉がいのちの限り叫んでいる。

「私は精一杯生きて、もうじき死んでいきますが、あなたは後悔しないように生きていますか?」


お寺に咲く花①「蓮」

 仏教で最も大切にされる花、蓮。仏典には「分陀利華」(インドではプンダリーカ)とも。

 泥の中から美しい花を咲かせる蓮は、煩悩(泥)の中にあって、それに染まらずにさとり(花)をひらく仏さまの例えとされる。浄土真宗のご本尊・阿弥陀さまは蓮の上に立っておられる。仏具にも用いられる。蓮は、清く澄んだ水からは咲くことはなく、泥の中からのみ咲く。

泥は無くならなくとも、泥があってこそ、その中で美しい花を咲かせるような人生を歩むのが浄土真宗の教え。


お寺に咲く花②「牡丹」

 中国原産で楊貴妃にも例えられる華やかな牡丹。

 本堂正面にある金色の唐獅子牡丹。百獣の王である獅子が唯一怖れたのは体に住みつく害虫、「獅子身中の虫」。この虫の弱点は牡丹の花からしたたる夜露だったという。獅子にとっては牡丹の下こそが心休まる安住の場所。誰にも心休まる場所が必要、お寺もそういう場所でありたい。


お寺に咲く花③「沙羅双樹と椿」

 お釈迦さまは、沙羅双樹の間で入滅されたという。

 沙羅双樹は春に白い花を咲かせて、良い香りがする。熱帯原産であり寒さに弱いため、日本ではうまく育たない。そのため日本では、代わりに夏椿が沙羅双樹と呼ばれるようになった。平家物語「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者心衰の理をあらわす」。美しく清楚な花が1日で落ちてしまうことから、仏教の無常観を代表する花となったという。当山の本堂前にも椿、夏椿ではありませんが。


お寺に咲く花④「樒(しきみ)」

 浄土真宗のお仏壇では、御本尊の前に、樒をさした水を香水として供える。

 樒は、死者を悪霊から守る、という言い伝えがある。冬の間も枯れない常緑の植物は、強い力を持つとされてきた。樒は毒性物質を持っているため、土葬だった時代には、墓に植えて野生動物に遺体を荒らされるのを防いだという。浄土真宗では悪霊がどうこうということはないが、今でも仏花に入れるのはその名残りかもしれない。


お寺に咲く花⑤

 内陣の格天井には数多くの花が描かれている。本堂内には一間ごとに様々な植物が彫られている。仏典にはお釈迦さまに花を供えることに功徳があると説く。また、花は美しい浄土を表す、咲いては散るところから無常を表すともいう。

 大切な人に花を贈る、大切な場所を花で飾るのは人間の自然な営み。花を通して、その時々で何かを感じ取り、心安らぐ。人間の素晴らしい感性の現れでしょう。